ワンルームマンション投資と一棟投資では、投資金額に大きな差があるのは明らかです。ワンルーム投資は数百万〜1,000万円という比較的少額から始められるのに対し、一棟投資は都内の木造アパートで最低8,000万円前後、鉄筋コンクリートのマンションだと1〜2億は必要になります。
最初に用意できる投資資金額の違いもさることながら、その後の運用においてもずいぶん差が出て来ます。たとえばワンルーム投資を始めてみたが、途中で経済的な状況が変わって来たというような場合に、物件を売却して投資前の状態に戻るのは比較的簡単です。
しかし一棟投資となるとそうは行かないので、その一棟物件以外に資産も収入もゼロという状況ではリスクが高すぎます。
少額から始めて1部屋ずつ増やしていくことが可能なワンルーム投資と、最初に多額の資金が必要な一棟投資では、うまく運用していけるオーナーのタイプが異なると考えるといいでしょう。
まず単純に家賃収入を比較してみると、最大時の利益はもちろん一棟投資のほうが高くなります。たとえば、家賃10万円の部屋が20戸ある一棟マンションに投資したとして、全室埋まれば月200万円の収入があり、仮に半分が空室でも100万円は毎月入ってくるということです。
対してこの1室だけに投資した場合は月10万円の収入が見込めますが、空室の間は収入がゼロになります。管理費・修繕費や税金を差し引いてもワンルームより一棟のほうが利益ははるかに高いと言えるでしょう。
では今度は立地という視点で考えてみると、一棟投資したマンションがある地域で、大学が移転した、付近の治安が悪くなった、といったような不可避な事情によってその地域の価値が下がってしまった場合、一棟全体に影響が及びます。
一方、ワンルーム投資の場合は、いろんな場所にあるワンルーム2〜3部屋に投資することも可能なので、それらがいっせいに同じ状況に陥ることはなく、リスクを分散することができます。
管理体制にも大きな違いがあります。ワンルーム投資の場合、管理についてはその建物全体の管理会社に任せることになりますが、一棟投資の場合はまずその管理会社をどこに頼むかを自分で決めなければなりません。
そのほか、中古物件だとたとえば購入した段階でリノベーションするかどうか、建物全体のメンテナンスや修繕についてもどこかの管理会社に任せるか、住人から管理費をどのくらい取るかなど、建物全体についてすべて判断を任されているので、自分で決めなければならない点が多いのです。そのためには自分でその地域のテナント賃料の水準や周辺環境を調べるために何度も足を運ぶ必要があります。
ワンルーム投資は基本的に家賃回収や建物のメンテナンス、空室が出たときの現状復帰と新しい入居者募集などをすべて含めて管理会社に任せることになるので、遠隔地の物件に投資することも可能、信頼できる不動産会社との付き合いがあれば現地に一度も行かずに契約することもできます。