不動産投資でよく「ワンルームマンションは利回りが高い」とか「この物件は利回りが悪そうだ」と言ったりします。この利回りとは何を指しているんでしょうか。不動産投資において「利回り」として想定されているのは、以下の計算式で求められます。
不動産の年間賃料 ÷ 不動産の価格 = 利回り
たとえば、物件価格が1,500万円のワンルームを月額8万円の賃料で貸したとすると、
96万円÷1,500万円 = 0.64
となって、つまり6.4%の利回りということになります。家賃に対して物件価格が安いほど利回りは高くなり、利益は大きくなるということです。
しかしこれは空室の時期がない場合の計算式なので、実際には住人が引っ越して部屋を現状復帰し、広告を出して次の住人が決まるまでにたとえば3ヶ月空いたとしたら、上記の計算式の「不動産の年間賃料」が下がるので、利回りはもっと悪くなります。
先ほどの計算式に当てはめて考えるとわかりますが、物件価格が安ければ安いほど、そして賃料が高ければ高いほど、利回りは高くなります。
ワンルーム投資と一棟投資では、利回りはどちらが高いんでしょうか。当然、物件のある場所によって、まったく同じ建物でも物件価格も家賃相場も変わってくるので一概には言えませんが、たとえば郊外にある物件価格500万円のワンルームマンションに投資したとしましょう。それを月額5万円の賃料で貸した場合、利回りは12%になります。一方、同じく家賃5万円の部屋が10部屋あるマンションを8,000万円で購入したとすると、1年間全室埋まっていたとしても利回りは7.5% です。
これは一例ですが、ワンルーム投資で一棟投資よりも高い利回りを実現することも可能ということです。ただし、いずれにしても空室の期間をなくすことが重要です。
実は利回りの計算式には、実際の利益を算出する上でもれてしまう要素もあるのです。
たとえば、同じ家賃の物件で、物件価格が3,000万円(A)のものと1,000万円(B)のものがあったとしましょう。これを上記の計算式で求めるとAのほうが利回りが悪くなります。しかし仮にAは立地が良く、都心で駅近、築年数も新しいデザイナーズマンションで、Bは郊外で駅から遠く、周囲にスーパーもなく築年数も古くて部屋も狭い、となると、賃料の下落リスクや空室リスク、流動性リスク(売却したいときに売れないというリスク)はBのほうが断然高くなります。
購入前に設定された賃料で利回りを計算してしまうと、こういった危険が潜んでいることを見逃してしまいます。高利回りが必ずしも良いとは限らないということを念頭に、利回りにとらわれ過ぎないよう多角的に見ることが重要です。